19/05/2026
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三浦梅園
「梅園全集/梅園会/大正元年(1912)」の上巻冒頭、序文の一部として梅園の息・黄鶴が記した「先府君孿山先生行状」の中に、同様の文が出て来る。
「莫賤於乞莫辱於偸莫暴於奪莫惨於殺」と殺伐とした語句が並ぶが、「莫賤於乞」「莫辱於偸」「莫暴於奪」「莫惨於殺」と分けて読めば、簡単な文であることが分かる。順に、乞うほど賤しいことは莫(な)し。偸(ぬすむ)より恥かしいことは莫し。奪うより悪いことは莫し。殺人ほど惨(みじめ)なことは莫し。
梅園の書幅は、常々この様な「戒め」のような語句が多いと思う。難解な梅園思想の字句にしては、安直すぎる言葉で周りの者を諭している様にみえる。多い書幅の一つに「恥をしれ」等もある。
ところが、前述の「莫賤於乞莫辱於偸莫暴於奪莫惨於殺」も、梅園の主著「玄語」に出てくる。単に戒めの標語ということでは無く、天の構成、人体の成立ち、思想の持ち方、更には、将来を予見する易(えき)に亘り、実証を優先して総合的に考察をし、全てを論理的に結びつけて、字句で表記、或は図に明示したのが梅園思想と思っている。
その部分部分の字句を取り出して書幅にすると、上記の様な結果になる。漢詩人の様な韻を踏むなどと云う事は無いから、とても直接的で安直な字句にみえてしまう。ところが、その字句の前後、或は左右、或は上下に字句の意味の絡みがあって、安易にその語句の意味で終ってしまってはならないのである。