12/08/2026
【展覧会のお知らせ】
みんなのギャラリーは9月3日(木)より奥天昌樹の個展「nowhere」を開催いたします。
会期:2026年9月3日(木)– 9月20日(日)
営業時間:12:00 – 19:00
休業:月曜
会場:みんなのギャラリー(東京都台東区東上野4-14-3 2F)
https://www.minnanogallery.com/masaki-okuten-nowhere
絵具を幾重にも重ね、制作過程そのものを画面に刻み込む奥天は、これまで特定のイメージに依拠しない絵画表現を探求してきました。
本展では、新作を中心に、近年の作品を交えることでその延長線を引き、「景色」という新たな視点から構成された空間を作り出します。
奥天の絵画が切り開く新たな展開をぜひ会場でご覧ください。
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Masaki Okuten: nowhere
Exhibition Dates: September 3 (Thu) - 20 (Sun), 2026
Opening Hours: 12:00 - 19:00
Closed: Monday
Minnano Gallery
2F, 4-14-3 Higashiueno, Taito-ku, Tokyo
Minnano Gallery is pleased to present nowhere, a solo exhibition by Masaki Okuten.
Through a process of repeatedly layering paint and inscribing the very act of making into the pictorial surface, Okuten has explored a form of painting that does not rely on specific imagery. Bringing together primarily new works alongside selected works from recent years, this exhibition traces the continuation of that practice while creating a space structured around a new perspective: “landscape.”
We invite you to experience at the gallery the new directions opening up in Okuten’s painting.
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奥天昌樹
2012年武蔵野美術大学 造形学部油絵学科 油絵専攻卒業。
線の成り立ちや集合的無意識など原初的なテーマで絵画、インスタレーション表現を用いて、芸術が人々にもたらす事象の探求をしている。人々が抽象画に意味を見出そうとする習慣そのものを揺さぶり、ミニマルで意味化されていない痕跡に、新しい価値や意味を見いだすことを試みている。
受賞:第3回Dアートビエンナーレ優秀賞(2014)、GEISAI #18ホルベイン賞(2013)、 viaart2009 KURATA賞(2009)
■ギャラリーでの展示歴
https://www.minnanogallery.com/artists/masaki-okuten
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Masaki Okuten
Graduated in 2012 from Musashino Art University, Department of Painting, Oil Painting Course.
Through painting and installation, he explores the phenomena that art can bring to people, working with primal themes such as the origin of lines and the collective unconscious. His practice challenges the very habit of seeking meaning in abstract art, aiming instead to uncover new values and meanings in minimal, unmarked traces that resist easy interpretation.
■ Exhibition History at Minnano Gallery
https://www.minnanogallery.com/artists-en/masaki-okuten
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目的地はどこでもない場所
文:田森葉一(みんなのギャラリー)
関東の古い寺院を巡るリサーチに出かけたときに、思いがけず出会った景色がある。
以前は田畑だったと思われる、放棄された土地。目の前は一段低い土地が広がり、その先には雑木林が見えた。グーグルマップは私に、目的地に到着したことを告げていたが、眼前の土地には背の高い草が辺り一面に生い茂り、その先へ進めそうもない。そこが目的地だとは思えなかったが、もしかすると目的地だったのかもしれない。結局、それすら分からないままその場を後にした。
奥天昌樹の近作を見ていて、私はこの景色を思い出した。
「nowhere」と題した個展に向けて制作された一連の絵画には、どこか「到着できない」感覚があった。
奥天の絵画は、何層もの絵具が複雑に折り重なってできている。 最後に現れた線は、最初に置かれた線であり、一番手前に見える層は、一番奥の層である。私はこの画面を見ながら、将棋の盤面を想像する。一手を指すたびに、盤面は新たな局面へと開かれていく。例えば、序盤に指した一手が、終盤になって初めて意味を持つことがある。
奥天の制作もまた、色を置くたびに、一本線を引くたびに、その時々の画面の状態に応答しながら進められていく。予め想定された完成形へ向かうのではなく、画面との対話を積み重ね、その結果が作品となる。
そうした即興性からして、奥天は特定の何か、具体的な何かを描こうとしているわけではない。その一方で、結果として現れた画面に何らかのイメージを見出すことは鑑賞の自然な働きであり、それは作家自身も避けられないこととして受け入れてきた。しかし今回は、最初に「景色」という前提が置かれている。
nowhereとは、どこでもない場所であると同時に、now here「いま、ここ」とも読める言葉だ。現在地はここだということが示されていながら、ここがどこなのかは明らかになることがない。あの放棄された土地もそうだった。地図は目的地の到着を告げていた。しかし私には、そこがどこなのか最後まで分からなかった。
今展で奥天の作品に現れる景色は、どこでもない、今ここの景色である。
その場所がどこであるかは特定されていない。しかし、それが「現在地」として私たちの前にあるとき、私たちは作家と同じ条件に立つことになる。奥天が制作のなかで向き合っていた現在地に、今度は私たちが立つ。どこでもない、現在地へと。
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Photo:
1. Masaki Okuten "Lakeside, Boat, Red roof, Fire" (2026) / 1303×970mm / Oil, acrylic on canvas
2. Masaki Okuten "What Stays" (2026) / 652×530mm / Oil, acrylic ,canvas on panel
3. Masaki Okuten "Cigarette Burn" (2026) / 1167×910mm / Oil, acrylic ,canvas on panel
4. Masaki Okuten "Valerie, Week, Fading" (2026) / 910×727mm / Oil, acrylic ,canvas on panel
©Masaki Okuten
#奥天昌樹 #みんなのギャラリー