13/05/2026
【石見の火山が伝える悠久の歴史⑫】
●石見銀山仙ノ山の銀鉱床
日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史」のストーリーをつなぐ3つの時代の火山は、三瓶火山と大江高山火山、そしてグリーンタフの時代の火山です。
大江高山火山の名になじみがある人は少ないかも知れません。でも、この火山は日本の歴史を動かす大仕事をやってのけました。それが石見銀山の銀鉱床の形成です。
石見銀山は大江高山火山の一峰である仙ノ山が中心です。この山はおよそ150万年前の火山活動で形成され、続いて生じた温泉の活動で銀鉱床が形成されました。地下にあるマグマの近くで高温になった水が銀をはじめさまざまな成分を溶かし、それが地表付近まで上昇する段階で銀を含む鉱物が沈殿して鉱石が生まれたのです。
金、銀、銅などの鉱山の多くは、高温の温泉水(熱水)の作用によって鉱床ができたもので、仙ノ山もそのひとつです。
ところが、仙ノ山には特殊な条件がありました。
仙ノ山の大部分は、爆発的な噴火で堆積した火山礫と火山灰でできています。火山砕屑丘という地形で、この種の地形として仙ノ山は国内最大級。この時点で特殊です。この種の山で温泉活動があって鉱床ができた例は、少なくとも国内ではほかにありません。
礫と火山灰が降り積もってできた地盤そのものが鉱石に変化したことで、岩石としては軟質で掘りやすく、鉱石が立体的に分布することから効率よく掘ることができ、さらに昔の技術で高品質の銀をとりだすことができる都合が良い鉱物の組み合わせになりました。
この鉱石こそ石見銀山が国内でいち早く銀の量産に成功する原動力です。当時、この石は「福石」と呼ばれました。石見銀山だけの銀鉱石で、ここだけの呼び名です。福を呼ぶ石。おそらく、その思いを込めた名前だったのでしょう。
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日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史~“縄文の森”“銀の山”と出逢える旅へ~」は、縄文の森(三瓶小豆原埋没林)と石見銀山を核に、大田市の歴史文化をつなぐストーリーです。