08/06/2026
【石見の火山が伝える悠久の歴史⑱】
●大江高山火山 ~春の特別な光景~
三瓶山の山頂から西を望むと、いくつもの峰が集まる山群が目をひきます。同じような景色は他にあまりないと思われる独特の光景。大江高山(808m)を最高峰とする山群です。これは一連の火山活動でできたもので、大江高山火山と総称されます。石見銀山の銀鉱床を抱く仙ノ山もこの火山の一峰。大江高山火山は石見銀山を生んだ火山です。
最高峰の大江高山は大田市では三瓶山に次ぐ高さ。市街地付近でも少し見晴らしが良い場所からはその峰の姿を望むことができます。
この山は、春に特別な光景を見せてくれます。
平地で桜のつぼみが膨らむ頃からが本番。山頂を目指して登山道を登り視界が開ける尾根筋に出たあたりから、足下に白い花がうつむいて咲いているのを見ることができるでしょう。イズモコバイモという分布が限られた植物です。白い花びらと赤っぽいおしべが特徴のミスミソウも見つかるかも知れません。
そして、桜が咲く頃の穏やかな晴れの日に、登山道のそばを飛ぶチョウの姿に気づくでしょう。アゲハチョウよりも小ぶりでモンシロチョウよりは大きいチョウ。せわしなく羽ばたくので、飛んでいる時に見分けることは難しいですが、しばらく待つと花や葉にとまって休む姿を見ることができるはず。翅を広げた時に黄色と黒の縦筋模様と翅の後ろにある赤い斑が見えたらきっとギフチョウです。
全国的に希少なチョウのひとつで生息地がある程度限られ、飛び交う時期も春先の1ヶ月ほどですから、目にする機会は限られます。でも、ここ大江高山では、何匹ものギフチョウが互いに近づいたり離れたりしながら人が歩く道のすぐそばを飛び交います。タイミングが良ければイズモコバイモとミスミソウの花も同時に見ることができ、それはこの山だけの特別な光景です。大江高山の植生と急峻な地形がもたらしてくれた光景と言えるでしょう。
写真1 男三瓶山から見た大江高山火山の山群
写真2 大江高山のギフチョウ
写真3 大江高山のイズモコバイモ
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日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史~“縄文の森”“銀の山”と出逢える旅へ~」は、縄文の森(三瓶小豆原埋没林)と石見銀山を核に、大田市の歴史文化をつなぐストーリーです。