07/06/2026
〈館蔵品展「#絵図でみる江戸―人々は絵図になにを求めたか」開催中〉
本展では、江戸を取り巻く関東周辺の地域図を「地方図」として紹介しています。
1枚目の写真は、その一つ「富士見十三州輿地全図」天保14年(1843)。
関東・東海・甲信越の13国(武蔵、安房、上総、下総、常陸、上野、下野、相模、駿河、甲斐、伊豆、信濃、遠江)の図版をつなぎ合わせた、大型の木版図です。
右側の赤い部分が江戸、左のオレンジ色が真上からとらえた富士山です。
要は、富士山が見えた地域をテーマとした地図です。江戸後期に富士登山が流行したのを機にこのテーマが設定されたのでしょう。現代にも通ずるテーマですね。
細部へのこだわりが見事な、レベルの高い木版画で、版木の彫りを担当した木村嘉平は当代の名工で、その精密な彫りの技術が高く評価されていました。
もう1枚「地方図」をご紹介します。
「関八州輿地路程全図」天保8年(1837)。
相模・武蔵・上総・下総・安房・上野・下野・常陸の8国(関八州/かんはっしゅう)を1枚に収め、主な街道、村々、旧跡や温泉を収録しています。
「長さ7分を1里とする」とありますから、縮尺は19万分の1。現代の「20万分の1地勢図」に相当します。
ちなみに、本図の編集にあたった水戸藩士・酒井喜熙は、日本画家・横山大観の祖父にあたる人物です。
最後に、本展に出品されている絵図のタイトルによく出てくる「輿地(よち)」について疑問に思われている方も多いかと思いますので、少し解説します。
「輿」とは乗り物の「こし」のこと。「輿地」は「こしに乗る地」で「大地」という意味です。