14/05/2026
【展覧会:超えて、未来へ】
現在展示中の《肥前国住近江大掾藤原忠廣》には、
倶利伽羅龍と梵字が刀身に彫られています。
展示では期間ごとに刀の向きを替えており、
現在は「倶利伽羅龍」をご覧いただける期間です。
剣に巻き付く龍「倶利伽羅」は、
不動明王の力を象る存在です。
本作では周囲を彫り下げ、
文様を浮き立たせる高彫風の技法によって、
龍が刀身から現れるように力強く表現されています。
裏には「ボロン」と読む梵字が刻まれています。
梵字は密教で仏を象徴する文字で、
刀身彫刻では災いから身を守る祈りを込めて
刻まれることがありました。
文字そのものに力が宿ると考えられていたのです。
刀身彫刻には、刀工の技量だけでなく、
その刀を求めた人々の信仰や美意識、
時代の空気までもが映し出されます。
この一振にも、守護への願いと、
彫物を愛でる感覚の双方を見ることができます。
ぜひ会場で、刀身に刻まれた祈りの造形をご覧ください。
越えて、未来へ
受け継がれし日本のかたち
ー 熊本地震十年・未公開の刀 ―
📍熊本・島田美術館
2026.4.2–6.15