11/05/2026
【NEXT EXHIBITION】
罅画美|ひびがび 矢成 光生 展
2026 年 5 月 30 日(土)~ 7 月 5 日(日)
いよいよ今月末から始まります。
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「矢成光生- 彼はカシューのヒビの中からAnother World を見出す」
矢成光生はそのカシューを描画材料として発見した。
かつて岡本太郎さんは「作家は自分の世界観を表現するために独自の手法や技法を編み出すのだ」と言っている。
私の絵画についての考えに「絵画を近くで観ると物質の状態、遠ざかって観ると精神の構造・システムが見えてくる」がある。
矢成の代表作に洛中洛外図屏風を下敷きにした作品「Wonder Future」(2017 年)がある。この作品で岡本太郎現代芸術賞に入選。「 洛中洛外図」という構図は様式といってもいい。日本絵画は伝統継承という形で様式を真似ることがある。実は矢成の幼少期から実家の居間に「洛中洛外図」の壁紙が貼ってあったという。
「洛中洛外図」の中の細部に描かれた都の人々の活気を観るのが楽しかったと矢成は話す。この原体験としての「洛中洛外図」が彼の代表作である「Wonder Future」に反映されていることは間違いないだろう。そして彼は「炭鉱のカナリア」( 炭鉱でガス漏れにいち早くカナリアは感じるためアーティストの隠喩として) のように現在、過去、未来の日本を描いたのだ。2025 年「戦争と平和の印象画」の作品は現在のイランやウクライナの戦争を想起させる作品だ。
2011 年東日本大震災と東京電力福島第一原発事故という現実が矢成の制作のテーマと繋がった。特に放射線のイメージと意図的に剥落させる彼の独自の手法に繋がる。その痛みを伴う物質感が矢成自身の想像力に転化したのかも知れない。ガストン・バシュラールが言う「物質と想像力」に繋がってくる。 バシュラールは「物質と向き合いその中で夢見ること( 夢想) が新たな詩的生成の最良の状態である」と説いた。矢成は現状との関わりとして復興支援活動もしていた。しかしそれよりも作家として「カシューと油彩」という物質の現実的なぶつかり合いが彼の詩的生成としての作品を作っているのに違いない。
※カシューはウルシ科の植物
京都場館長 仲野泰生( 元川崎市岡本太郎美術館学芸員)
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